アライアンス初心者が最初に知っておくべき7つのコト

アライアンス初心者が最初に知っておくべき7つのコト 初心者向け
高木
高木

こんにちは!アライアンスコンサルタントの高木です。

私は、10年以上に渡り上場企業やベンチャー企業でアライアンス実務に携わってきました。

今は、アライアンスコンサルタントとして50社ほどの顧客に対して、「アライアンス」の商談設定・交渉代行などを行っています。

「アライアンス」と聞くと、難しいビジネス用語のように聞こえるかも知れません。

アライアンス実務が初めての方からは「アライアンスって難しいですか?」と質問を受けることがあります。

高木
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実際は、しっかりと基礎知識を持っていれば難しいことはありません。

企業発展・事業発展の大きな施策になる「アライアンス」について、アライアンス初心者が最初に知っておくべき「7つのコト」について徹底的に解説します!

これを読み進めていけば、無駄なく効率的に、「アライアンス」についての知識が身に付きます。

高木
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アライアンスを知るための第一歩を踏み出してみましょう!!

(1)アライアンスとは?

アライアンスとは?
高木
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さまざまなビジネスシーンでアライアンスという用語を耳にすることも多くなりました。

アライアンスとは何のことでしょう?

ビジネス用語として使われる「アライアンス」とは、一言でいうと「業務提携」を交わす事業スタイルのことです。

「業務提携」という事業スタイルには、お互いの企業が持つ資源を活用していくというメリットがあります。

「アライアンス(alliance)」とは、もともとの意味は英語で「同盟」を意味します。

正確な英語表現では、「業務提携」は「ビジネス アライアンス(business alliance)」というのですが、日本では「アライアンス」=「業務提携」といえます。

アライアンス=業務提携

ビジネスシーンで使用される場合は、異なる立場にある企業どうしが利益を生み出すために協力し合う体制のことを指します。

日本語の「提携」をイメージすると意味がつかみやすいのではないでしょうか。

異なる立場にある企業どうしで提携関係を結ぶことを「アライアンスを組む」「アライアンスを結ぶ」と表現します。

「アライアンス」という用語は、「業務提携」の形式に関わらずに使用することができる言葉です。

さまざまな会話の中に「アライアンス」という用語が出てきたとしても具体的な形態まではよくわからないこともあります。

また、「アライアンス」に失敗したことを「ミスアライアンス(misalliance)」と呼びます。

「ミスアライアンス」の本来の意味は「不釣り合いな結婚」のことです。

身の丈の合わない者同士の結びつきは破綻しやすいという意味だと考えられます。

さまざまな業界で「アライアンス」という用語は使われます。

高木
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アライアンスの意味がわからないと、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があるかも知れませんね。

①アライアンスの定義

アライアンスの定義
高木
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アライアンスの定義は、しっかりと押さえておいて欲しいところです。

ハーバード大学の教授は、以下の3つが同時に満たされることが、アライアンス[業務提携]であるための条件であると述べています。

(1) 複数の企業が独立したままの状態で、合意された目的を追求するために結びつくこと

(2) パートナー企業がその成果を分け合い、かつその運営に対してのコントロールを行うこと

(3) パートナー企業がその重要な戦略的分野(技術・製品など)において、継続的な寄与を行うこと

Strategic Alliances(1995年)Yoshino & Rangen著

一つ目のキーワードは「独立したままの状態」ということです。

企業どうしの関係は独立しているものもあれば、支配関係にあるものもあります。

例えば、親会社と子会社は支配関係になります。このような企業間の関係は、一般的にはアライアンス[業務提携]と言えません。

二つ目のキーワードは「成果を分け合い、お互いにコントロー ルを行う」ということです。

パートナーのどちらかだけが得をしている関係や、どちらかだけが運営にかかわっている関係も、アライアンス[業務提携]とは言えません。

アライアンス[業務提携]の成果を分け合っていることと、双方が運営に協力していることが必要です。

三つ目のキーワードは「継続的な寄与」ということです。

一般的な市場における物品やサービスなどの取引は、一時的なものであるため、買い手と売り手にアライアンス[業務提携]の関係はないと言えます。

簡単にまとめると、下記をアライアンス[業務提携]の関係といいます。

企業どうしが「独立したままの状態」で「成果を分け合い、お互いにコントロールを行い」かつ「継続的な寄与」の状態にあること。

②アライアンスの分類

アライアンスの分類
高木
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一旦、アライアンスの分類を体系立てて、説明します。ただ、一般的なアライアンスはパターンがあるので難しいわけではありませんよ。

アライアンスの分類パターン

出典:Yoshino & Rangan(1995)

ハーバード大学の教授はアライアンス[業務提携]の定義に基づいて、さまざまなアライアンス[業務提携]の形式の分類を行っています。

企業どうしの結びつきを、大きく二つに分類しています。

資本関係にもとづくもの契約関係にもとづくもの

資本関係にもとづく結びつきは、資本をつうじて企業どうしが部分的に連結する、ということを意味します。

そのため、アライアンス[業務提携]を行うにあたって企業どうしのつながりのレベルは高く、簡単に関係を解消することはできません。

特に重要度の高いプロジェクトを行う場合など、お互いに相手の強いつながりを必要とするため、資本関係にもとづくアライアンス[業務提携]が行われることが多いです。

契約関係にもとづく結びつきは、双方のつながりのレベルは低く、状況の変化に応じて、その関係を柔軟に変えていくことが可能です。

特に、共同研究・共同開発・生産委託・販売協力・合弁会社の5つの分類は、契約関係にもとづくアライアンス[業務提携]として広く一般的な取組みになっていると思います。

変化の激しい経営環境のもとでは、このような柔軟性が重視されるため、契約関係に基づくアライアンス[業務提携]が多い傾向にあると思います。

(2)なぜ、アライアンスを行うのか?

なぜ、アライアンスを行うのか?
高木
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アライアンスの理論について、攻めと守りの二つの考え方があります。

なぜ、企業はアライアンス[業務提携]を行うのか、という問いかけに対して、多くの知識人が様々な見解を示してきました。

アライアンス[業務提携]を論じる2つの代表的な視点は、資源ベース理論と取引コスト理論です。

資源ベース理論は攻め、取引コスト理論は守り

資源ベース理論は、企業の行動を、さまざまな経営資源の活用による価値最大化を目指すものとして説明されます。

取引コスト理論は、企業の行動を社内での活動に伴うコストと社外との取引に起因するコストとの総和を最小化するものとして説明されます。

このように両理論は企業行動について、最大化と最小化という対照的な視点から分析されます。

分かりやすく説明すると、攻めと守りに置き換えられます。

資源ベース理論は、資源最大化のための攻め(攻撃体制)のことです。

取引コスト理論は、コスト最小化のための守り(守備体制)のことです。

①資源ベース理論

資源ベース理論
高木
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資源ベース理論というと難しく聴こえるからも知れません。資源ベース理論=攻め(攻撃体制)と置き換えてくださいね。

資源ベース理論は、企業が保有する経営資源の価値に注目します。

価値ある経営資源の多くは企業固有のものであり、完全な移動・模倣・代替が難しいです。

他社のもつ経営資源との異質性を確保することで、企業の競争優位を構築できる。企業がアライアンス[業務提携]を行うのも、パートナーの有する価値ある経営資源が目的です。

それにアクセスして活用することで、自らの競争優位につなげようとします。
企業活動に、内製化と市場取引があるとすると、アライアンス[業務提携]はその中間に位置づけられます。

例えば、企業がある製品に使用する部品を必要とする場合、自社で生産する(内製化)か、もしくは市場から購入する(市場取引)か、の2つの選択肢があります。

その中間に、もう1つの選択肢として、パートナーと共同で生産する、あるいはパートナーに生産委託する、などのアライアンスが考えられます。

資源ベース理論にもとづいてアライアンス[業務提携]を行うメリットは、変化の激しい環境の中で効率よく事業運営することのできる究極の効率化と言えます。

②取引コスト理論

取引コスト理論
高木
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取引コスト理論も簡単に考えると。取引コスト理論=守り(守備体制)と置き換えることができます。

事業活動を行うにあたって取引コストが大きい場合、企業はその活動を市場取引で行うのではなく、企業内部の活動として取り込もうとします。

例えば、家電メーカーが製品に使用する部品を市場から調達する場合、 その供給者が限られるとします。

このような状況では、購入価格を不当に高くされたり供給が制限されるなど、生産に支障が出るリスクが高く、市場取引のコストは大きくなります。

そこで考えられるのが、この部品を市場から調達するのではなく、内部化するということです。

もちろん、社内で生産するとしても、製品開発・工場投資・生産管理など内部コストは発生します。

これら双方のコストを勘案して、企業は、取引コストと内部コストのどちらかを選択する。というのが取引コスト理論の考え方です。

取引コスト理論にもとづいてアライアンス[業務提携]を行う場合、取引コストと内部化コストを比較して、取引コストのほうが大きい場合には内部化し、内部化コストのほうが大きい場合には市場取引を選択します。

(3)アライアンスの種類とは?

アライアンスの種類とは?
高木
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アライアンスの種類は押さえておいて欲しいところです。

企業とは経営資源の集合体です。

アライアンス[業務提携]とは、企業間における経営資源の交換と考えることができます。交換対象となる経営資源の組み合わせによって、アライアンス[業務提携]はさまざまな形式で表現できます。

経営資源は、技術資源、生産資源、販売資源、人材資源、資金資源、などに分類することができます。

例えば、パートナーの有する技術資源を活用するのが技術ライセンスです。生産資源を活用するのが生産委託、販売資源を活用するのが販売協力、技術者などの人材資源を活用するのが共同開発です。また、資金資源を必要として、パートナーと資本を分担するのが合弁会社です。

アライアンス[業務提携]の種類は、頭を整理する意味で重要です。基本的な5種類にご説明したいと思います。

①技術アライアンス

技術アライアンス
高木
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特許や技術ノウハウを取得することが技術ライセンスです。

さまざまな技術の高度化が進み、それが製品やサービスの差別化を決定する要因となっています。技術なくして、競争力のある製品もサービスも提供できないと思います。

特に、メーカーにとっては技術は最も重要視しなければならない経営資源です。

ただ、技術資源は容易に積み上げることのできない資源です。

長年にわたる開発活動の積み重ねの結果として、価値ある資産となっていきます。企業は相応の時間と費用をかけて技術を開発しています。

しかし、開発競争が激化し、先を争うように新製品が世に出ては消えていく環境のもとで、技術を開発できるまでの時間を待てない場合もあります。

このような状況下で、必要とする技術を保有している企業があれば、その技術資源を活用するという選択肢が考えられます。

技術という経営資源は、設備や製品などのような有形資産ではありません。無形資産のうち、特に知的財産として保護されるものです。

このうち登録することにより、排他的な権利が保証されるものとして特許、実用新案や意匠などがあります。技術ノウハウや技術情報も法的保護の対象となります。

技術はこうして資産として保護されるため、他社の技術を使用するには、それを実施できる権利を取得しなければなりません。

他社のもつ技術を活用できるように、特許や技術ノウハウを取得することが技術ライセンスです。

②販売協力

販売協力
高木
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販売資源(販売チャネルやブランドなど)を活用することが販売協力です。

企業活動の基本は、製品やサービスを顧客に販売して対価を受け取ることです。販売はその中の重要な活動であり、販売資源は企業競争力の源泉のひとつです。

販売資源といってもさまざまなものがあります。例えば、その企業のもつ販売チャネルです。

自社の販売組織と併せて代理店、卸し、小売り、へとつながる流通機能をどれくらい活用できるかが販売力を決定します。

また、インターネットの普及により、流通体制にも変革が起きており、このような新しい波に適合していく体制も、販売資源としては重要です。人材も貴重な資源です。

販売戦略の企画スタッフ、販売チャネルを開拓する担当者から販売員にいたるまで、その企業の販売を支える力です。

さらに、ブランドや企業の信用などは無形の販売資源です。これらは長年の事業や宣伝活動の積み重ねとして蓄積されるものです。

販売資源は、その地域特殊性にも特徴があります。

販売体制や顧客関係は、地域固有のシステムに組み込まれているので、新たな地域に事業進出しようとする際に、他の地域で築いてきた販売資源をそのまま活用することはできません。

このように、販売資源は地域的な移転が困難です。その構築には多大な時間と投資が必要となります。

パートナーの有する販売資源(販売チャネルやブランドなど)を活用することが販売協力です。

③生産委託

生産委託
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大きな投資を押さえることができる生産委託を活用する意義は大きいです。

生産はメーカーにとって基本的な活動ですが、同時に最も規模の大きい経営資源を必要とする領域です。

生産を行うためには、土地の確保、工場の建設、装置設備の購入、電力・水・ガスの整備などをしなければなりません。

また、生産を担う従業員を育成し供給者との納入関係を構築し製品を出荷するための流通経路を確保しなければなりません。

これらに必要となる投資負担は大きく、多大な資金が必要となります。

これらの投資は固定費となり、いったん生産を開始すると、仮に需要が減退しても、生産を中止したり規模を縮小することはできません。あと、従業員の賃金は支払われ経費は発生し続けます。

もし、生産を委託し他社の生産資源を活用できるならば、多大な投資資金は必要なくなり需要が減退した場合の対応も柔軟にできます。

他社に生産委託できる体制を整えていれば、好況期には生産委託を目いっぱい活用し、不況期には生産委託を縮小することで、景気のサイクルに耐えうる事業モデルも構築できます。

また、ベンチャーや研究開発型の企業では、生産は他社に委託することで、自社の経営資源をコアコンピタンスである技術・製品開発に集中投入することができます。

生産資源には大きな投資が必要となるからこそ、生産委託を活用する意義は大きいです。

④共同開発

共同開発
高木
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特定の技術や製品を協力して開発する仕組みが共同開発です。

技術の高度化が進む中で、その開発に必要となる経営資源も広範囲なものとなっています。

開発技術者の人的資源・特許やノウハウなどの技術資源・開発費に対する資金資源・さらには開発を管理・運営するノウハウなど、これらすべてを単一の企業が保有することはますます難しくなっています。

そのため、パートナーと連携した共同開発が数多く行われるようになってきました。

特に、高度な技術開発が要求されるハイテク業界では、その傾向が顕著です。最近は発表される共同開発の80%以上が、エレクトロニクスおよびバイオの領域であると聞きます。

また、資源ベース理論の視点では、共同開発において、統合された研究開発体制が媒介となり、技術者などの人材資源・特許やノウハウなどの技術資源・さらに資金資源などが交換されます。

単独の企業としては、目標とする技術や製品を開発するのに必要な経営資源を保有していないことがほとんどです。

複数の企業が人材・技術・資金などの経営資源を提供し合い、特定の技術や製品を協力して開発する仕組みが共同開発です。

⑤合弁会社

合弁会社
高木
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双方のコミットメントの証としての資本を伴うのが合弁会社です。

合弁会社とは、複数の企業が出資をして設立する独立した企業体のことを言います。

合弁会社を設立するにあたり、企業は資本以外にも、経営者や従業員・製品や技術・設備など、合弁会社が事業を行うのに必要な経営資源を提供します。

合弁会社に技術者や技術を提供して開発を行う場合、それは先に述べた共同開発に類似したスキームになります。

しかし大きな違いは、そこに資本の提供が行われ、アライアンス[業務提携]を行う場として独立した企業体が形成されるということです。

これによって、パートナーとの結びつきはより強固なものとなり、アライアンス関係を解消することは容易にできなくなります。

また合弁会社の業績が、それぞれの親会社の経営に直接影響するため、技術や人材の提供にあたって最大限の配慮をせざるをえなくなります。

いわば「相互に相手企業を人質としている状態」であり、資本の提供が企業間のより強いコミットメントを作り出します。

資本そのものも事業を行ううえで必要な経営資源ですが、それが企業間の関係を強化する役割をもつことが、合弁会社というアライアンス[業務提携]を特徴づけます。

資源ベース理論の視点では、企業がある事業目的を達成するために、パートナーの有するさまざまな経営資源を必要とし、そこに資本という経営資源が含まれる場合に、合弁会社という枠組みが構築されます。

その目的が企業にとって戦略的かつ重要である場合、双方のコミットメントの証としての資本を伴うのが合弁会社です。

(4)アライアンスパートナーの選定とは?

アライアンスパートナーの選定とは?
高木
高木

アライアンスとは、パートナーとの相互作用です。パートナー選びには苦慮するケースもありますね。

誰をパートナーとしてアライアンスを構築するか、というパートナーの選定は最重要事項です。

自社が求める経営資源がパートナーから獲得できること、逆にパートナーが必要としている経営資源を自社が提供することができて、アライアンスは成立します。

しかも、お互いその経営資源を活用して展開する事業活動があります。

その位置づけに適したアライアンス[業務提携]の形式が、お互いに一致しなければなりません。

パートナーを選定するパターンとしては、大きく次の5つが考えられます。

(1)パートナー候補を定めたうえでアプローチする
(2)相手企業からのアプローチを受ける
(3)従来からのパートナーとの関係を発展させる
(4)経営者の人脈を活用する
(5)仲介機関による紹介を受ける

アライアンス[業務提携]戦略に基づき、最適なパートナー候補を選び、こちらからアライアンス[業務提携]を提案するパターン。

逆に、相手企業がこちらをアライアンス[業務提携]候補として選び出し、こちらにアライアンス[業務提携]を提案してくるパターン。

従来からパートナーだった企業との関係を発展させ、新しいアライアンス[業務提携]を構築するパターン。

経営者の人脈を活用して、アライアンス[業務提携]のきっかけを作るというパターン。

アライアンス[業務提携]を仲介するコンサルタントやアドバイザーなど、第三者が紹介するパターン。

パートナーを選定するパターンについて説明しましたが、実際のところ、両社の経営資源をきちんと理解した上でのパートナー選定となりますと、アライアンス[業務提携]を専門とする仲介機関に相談したほうが時間短縮もできも理想のパートナーと出会える確率があがると言われています。

(5)アライアンス契約書のポイントとは?

アライアンス契約書のポイントとは?
高木
高木

アライアンス契約書における6つの基本的な構成要素についてです。

アライアンス[業務提携]の条件交渉において合意された条件は、契約書としてまとめられ締結されます。契約書が締結された段階で、アライアンス[業務提携]が構築されたと見なされます。

つまり、ここまでがアライアンス[業務提携]構築の局面であり、ここからがアライアンス[業務提携]実施の局面となります。

アライアンス[業務提携]契約書の締結は全体のプロセスの中で、大きな節目となると言えます。

アライアンス[業務提携]を経営資源の交換として考えると、いくつかの要素が存在します。

これら各要素のあり方を特定することで、アライアンス[業務提携]の枠組みが決まります。

そして、この各要素のあり方を書面化したものが、アライアンス[業務提携]契約書です。

各要素の関係に基づいて、アライアンス[業務提携]契約書には6つの基本的な構成要素があります。

交換の対象となる経営資源が、何であるかが特定される。これが「定義」です。

その定義に基づいて経営資源がパートナーに提供されます。この提供のされ方が「実施許諾」です。

提供された経営資源を、パートナーがどのように使用するか?についての範囲が定められます。これが「制約条件」です。

パートナーがその見返りとして、交換対象とするのが資金である場合、経営資源の価値と同等の資金が提供されます。これが「対価」です。

提供される経営資源の品質に関する取り決めが「保証と補償」であり、交換関係が終焉し、提供された経営資源が回収される過程の取り決めが「終結」です。

このように「定義」「実施許諾」「制約条件」「対価」「保証と補償」「終結」の6つがアライアンス[業務提携]契約書の構成要素となります。

ここで締結された契約書は、これからのアライアンス[業務提携]・プロジェクトで、両社があらゆる局面で拠り所とする、バイブルのような存在です。

どのようにプロジェクトを進めるかという方針も、どのように問題を解決するかという対応も、すべてこの契約書に基づいて決められます。

しっかりとした契約書を締結することが、アライアンス[業務提携]成功の要因となります。

(6)アライアンスのゴールとは?

アライアンスのゴールとは?
高木
高木

アライアンスにおいてはゴール設定が大切です。お互いに納得できるゴールだからこそ、アライアンスの価値があると思います。

アライアンス[業務提携]の評価は、その計画に対してどの程度の成果レベルを達成したか?によって行われます。

成果指標はアライアンス[業務提携]によって様々です。

販売協力の場合は、売上・利益・販売量・販売費用・市場シェアなどです。

生産委託の場合は、生産量・生産コスト・稼働率などです。

共同開発の場合は、開発した技術・開発に要した費用や期間などです。

合弁会社を設立して共同事業を行う場合は、事業的な指標(売上・利益・市場シェア)で評価されます。

実際のところ、プロジェクトは成功したものの、事業としては失敗したアライアンス[業務提携]事例も存在します。

プロジェクトの成果と事業成果とは別のものです。

パートナー間においてプロジェクトの範囲では一致していた方針も、事業方針まで含めて検討されたか?というと合致していないケースも多々あります。

プロジェクト成果は共通であるものの、それがどのような事業成果につながるかは、パートナー間で異なることもあります。

また、それぞれの事業に対する環境変化の影響も異なるためプロジェクト方針を見直す。ということも容易ではないこともあります。

そのため、パートナー間でアライアンス[業務提携]に対する評価が一致しないということも生じます。

パートナー間でのゴール設定はとても重要です。

(7)アライアンスの事例

アライアンスの事例
高木
高木

私が、約10年アライアンスに携わってきた経験や知識を少しでもわかりやすく、まとめたつもりでしたが如何でしょうか?

アライアンス[業務提携]の組み方として様々な提携手法があると述べましたが、私の経験で一番多い提携は販売連携になり数多く実現してきました。

ここで、実体験の課題として出てきた事例をご紹介します。

とある大手通信事業の企業様との話です。

私は当時、女性向けのサブスクリプションを展開するベンチャー企業でアライアンス部門の役員をしておりました。

会員数としては20万人超おり消費者向けサービスとしてはまだ小規模クラスでした。

一方で、通信事業の企業様は契約者数が数千万人クラスのガリバーです。

この会員数と契約者数を経営資源と見立て対等な提携を模索すると大きな課題が生まれます。

それはパワーバランスです。

サブスクリプションのサービスを通信事業の契約者様向けに案内をした場合、たとえ女性向けのサービスだから限定出来るとは言え、1千万人以上の女性の方に告知が出来ます。

通信事業の企業様からすれば私の所属していた企業には20万人超しかおりませんので均衡が保てない(バランスが取れない)提携となる訳です。

では、どうすればこの提携を進める事が出来るのか?

それは通信事業企業様の契約者様が仮にベンチャー企業のサービスに申し込み(契約)をした場合、獲得インセンティブを支払うという事です。

獲得インセンティブの支払い方法としては、単発での支払い、または利益シェアという方法もあります。

この提携時は利益シェアを選択されました。

代表的な課題としてパワーバランスの話を題材にしましたが、他にも事業展開している商品・サービスが初回のみの買い切りと月額サービス・サブスクリプションの組み合わせがあります。

ただ、一方のみが恩恵があり、もう一方は骨折り損のくたびれ儲けというケースにもなりかねないので何かしら工夫が必要です。

課題ばかりお伝えしているので、アライアンスは難しいとお考えになるでしょうが、決して、そんな事はございません。

双方の利害関係が補完できる取り組みであれば順調に進みます。

まずは自社のサービスや仕組み、ユーザー属性を理解・研究する事。

そして組む相手の業界・サービス構造を理解し仮説を立て、どんな事に課題を持っているのか?

どういう方向に事業を伸ばしていきたいのか?をじっくり考え、商談時には自分達の話ではなく相手方の事業内容をより深くヒアリングする事がアライアンスの近道と言えます。

近年、めまぐるしく激動するビジネス環境においては、孤軍奮闘も大切ですが、外部連携、異業種連携を模索することで、企業成長をスピード化できます。

アライアンス[業務提携]への取り組みを事業戦略のひとつとして考えてみてください。

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